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総論

7

物質世界で起きていること

06では、物質世界と非物質世界について見てきました。

物質と非物質は、完全に切り離された二つの世界ではありません。どちらも同じ宇宙の中にあり、私たちは魂の一部を肉体として物質世界に焦点を結び、現実を体験しています。

では、その物質世界では何が起きているのでしょうか。

ここで重要になるのが、肉体は、創造の最先端にあるということです。


肉体は、魂の単なる「入れ物」ではない


スピリチュアルの世界では、「肉体は魂の器」「肉体は魂の乗り物」と表現されることがあります。

イメージとしては分かりやすいのですが、この講座では、魂と肉体を完全に別のものとしては捉えません。

魂という本体があり、その一部が肉体として物質世界に焦点を結んでいます。

つまり、魂が肉体という別の容器に入っているというより、魂の一部が肉体として現れているという関係です。

ですから、魂やハイヤーセルフが「本当の自分」で、肉体の自分は仮の自分ということでもありません。

どちらも自分です。ただ、焦点を結んでいる波動領域と、認識できる範囲が異なります。

ハイヤーセルフは肉体よりも広い範囲を認識し、肉体は今ここに焦点を絞って、物質世界を明確に体験しています。

その肉体だからこそできることがあります。


私たちが見ている物質世界


では、肉体が体験している「物質世界」とは、何なのでしょうか。

06で見たように、宇宙はすべて波動です。

その波動にはさまざまな領域があり、一定の波動領域になると、肉体はそれを、物として見る。触れる。そこに存在しているものとして感じる。ことができるようになります。

それが、私たちが「物質世界」と呼んでいるものです。

ただし、ここにはもう一つ重要な仕組みがあります。

私たちは、外側にある物質世界を、そのまま直接見ているわけではありません。肉体というフィルターを通して、物質世界を知覚しています。

そして、さらに一人ひとりの現実というところまで見ていくと、その人が体験している世界は、その人自身のエネルギーが投影された、ホログラムのようなものでもあります。

たとえば、Aさんという人がいるとします。

Aさんが見て、触れて、体験している現実は、Aさんという肉体のフィルターを通して知覚され、そこにAさん自身のエネルギーが投影された世界です。

その意味では、一人ひとりに、その人固有の物質世界があるとも言えます。

ただ、「固有の物質世界」というよりも、その人固有のホログラムと表現する方が近いでしょう。


ホログラムでも、その人にとってはリアル


ホログラムというと、「それなら、本当の世界ではないのか」と思うかもしれません。けれども、そういう意味ではありません。

Aさんにとって、その世界は実際に見ることができ、触れることができ、そこでさまざまなことを体験します。

仮想現実でありながら、その人にとってはリアルな現実です

では、Aさんという個人のフィルターを取り払ったら、何が残るのでしょうか。

イメージとしては、映画『マトリックス』で、ネオが世界をデータとして見ている状態に近いかもしれません。

そこにあるのは、波動、つまりデータによって構成された世界です。

けれども、そのデータだけでは、Aさんにとって意味をなしません。

「これは机である」「これは人である」「これは触れることができる」「これは自分にとってこういう意味がある」というような、肉体として体験できる世界ではなくなります。

単なるデータになってしまいます。

そのデータを、Aさんという肉体のフィルターを通して知覚する。そして、そこにAさん自身のエネルギーが投影されることで、Aさんにとって意味のある、体験可能な現実として展開されます。

ですから、私たちが普段「現実」と呼んでいるものは、単なる波動の集まりでもなければ、誰にとってもまったく同じ一つの物質世界でもありません。

波動として存在するデータを、肉体というフィルターを通して知覚し、そこにその人自身のエネルギーが投影されることで、その人にとっての現実が成立しています。

それが、この講座でいう、ホログラムという捉え方です。

ホログラムについては、各論でさらに詳しく扱います。


物質世界は、体験する世界


物質世界の大きな特徴は、体験が、とても明確であることです。

見る。聞く。触れる。感じる。考える。行動する。そして、その結果を体験する。

非物質の状態にあるものを、肉体という焦点を通すことで、より濃く、はっきりと体験することができます。

06で見たように、肉体には制限もあります。分からない。忘れる。迷う。思い通りにならない。

けれども、その不安定さがあるからこそ変化しやすく、さまざまな違いを明確に体験することができます。

物質世界は、肉体を使って、実際に体験する世界です。


肉体は、創造の最先端


ここで、もう少し宇宙全体から物質世界を見てみましょう。

これまでの章では、宇宙がどのように成立し、物質と非物質という異なる波動領域が存在しているのかを見てきました。

そして06では、魂の一部が肉体として物質世界に焦点を結んでいると説明しました。

つまり肉体は、非物質から物質へと焦点を結んだ、創造の最先端にあります。

これは、非物質より物質の方が優れているという意味ではありません。高い波動、低い波動という違いにも、優劣はありません。

ここでいう「最先端」とは、肉体の実際の体験を通じて、宇宙の創造がとても活発に起きている場所ということです。

私たちは、すでに出来上がった宇宙の中を、ただ眺めながら生きているわけではありません。

肉体として、この創造の最先端にいます。


私たちの体験によって、世界は拡大する


02から04にかけて、宇宙は拡大しているということを見てきました。

その拡大と、私たちが物質世界でしている体験は、別々のものではありません。

私たちは物質世界で、さまざまなことを体験します。

その中で、これは好き。これは嫌だ。もっとこうしたい。こうなったら嬉しい。こんなものがあったらいい。今度はこちらへ行ってみたい。という新しいものが生まれます。

それまで存在していなかった願望が生まれます。そして、それによって世界はさらに拡大します。

つまり、私たちの体験そのものが願望を生み、宇宙の拡大につながっています。

物質世界で私たちが生きることは、宇宙の大きな流れから切り離された、小さな個人の出来事ではありません。

私たちは、創造の最先端で体験することによって、世界の拡大に参加しています。


その最先端に、自由意志がある


そして、その創造の最先端にいる私たちには、自由意志があります。

03で見たように、自由意志は宇宙の基本原則です。

何を考えるのか。何をするのか。誰と関わるのか。どの方向へ進むのか。私たちは、自分で選ぶことができます。

動くこともできる。動かないこともできる。選ぶこともできる。選ばないこともできる。

宇宙は、「自由にやっていい」とされた世界です。

その自由意志を持った肉体が創造の最先端にいるからこそ、世界には新しい体験が生まれ続けます。

すべてが最初から決められ、その通りに進むだけなら、新しいものは生まれません。

自由意志を持った私たちが体験することで、世界はより活発に拡大していきます。


基本設計があっても、自由意志は失われない


ただし、肉体が何の前提もない真っ白な状態から人生を始めるわけではありません。

魂は肉体を持つ前に、一つの人生について、大まかな基本設計をします。

人生への影響の強さをイメージとして表現するなら、

魂による基本設計:約2割

肉体の自由意志:約8割

です。

基本設計とは、最初から最後まで決められた一本の道ではありません。広いフィールドのようなものです。

その中をどのように進むのかには、大きな自由があります。

ですから、基本設計があることと、人生のすべてが決まっていることは同じではありません。

基本設計については、各論「人生のブループリント」でさらに詳しく扱います。


ハイヤーセルフは、肉体の自由意志を尊重する


06で、魂=ハイヤーセルフと説明しました。

魂と肉体は不可分ですが、それでも肉体の自由意志は最大限に尊重されます。

ハイヤーセルフが、「こちらへ進みなさい」と肉体を強制的に動かすわけではありません。

方向性を提案する。肉体が選ぶ。その選択を尊重する。そして、現在地が変われば、その場所からまた次の方向性を提案する。

肉体がどのような選択をしても、ハイヤーセルフはその現在地から方向性を示します。

一度、理想とは違う方向を選んだからといって、人生から脱落するわけではありません。

今いる場所から、また次の可能性が生まれます。


感情は、方向を知るためのサイン


では、ハイヤーセルフが示している方向と、今の自分が向いている方向との関係を、肉体はどのように知るのでしょうか。

その一つが、感情です。

ハイヤーセルフの方向性と、今の自分の思考との距離は、感情として現れます。

方向性が近ければ、より心地よく感じる。離れていけば、抵抗や違和感として感じる。

その意味で感情は、自分の思考と、ハイヤーセルフの方向性との位置関係を知らせるものとして働きます。

ただし、感情は命令ではありません。サインです。

そのサインを見た上で、何を選ぶのか。そこにも、肉体の自由意志があります。


「今ここ」から、新しい世界が生まれている


物質世界では、さまざまなことが起こります。

思い通りになることもあれば、ならないこともあります。望んでいたことも、望んでいなかったことも体験します。

けれども、その体験の中から、「では、私はどうしたいのか」が生まれます。

そして、新しい願望や方向性が生まれれば、それによってまた世界が拡大します。

だから、起きたことのすべてについて、「これは基本設計だったのか」「これは自分が間違えたのか」と答えを出す必要はありません。

大切なのは、今、この地点からどうしたいのか。です。

その新しい意図が、また次の創造へとつながっていきます。


私たちは、世界の拡大に参加している


物質世界で起きていることを、宇宙全体からもう一度見てみましょう。

私たちは、肉体として創造の最先端にいます。そこで、自由意志を持って生きています。

さまざまなことを体験し、その体験から新しい願望や方向性が生まれます。そして、その新しいものによって世界はさらに拡大していきます。

私たちは、出来上がった世界をただ体験しているだけではありません。

創造の最先端で、自由意志を使いながら、世界の拡大に参加しています。

それが、物質世界で肉体を持って生きるということです。




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